Furukawa Takumi0128’s blog

アート中心のブログかな?

古川巧展について 2018

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古川巧、ステップスギャラリー初個展である。古川は 1950
年平塚生まれ、72 年東海大学芸術学科卒業、80 年銀座か
なめや画廊で個展、84 年旧東ドイツ INTER GRAFIK、85
年ニューヨーク第 10 回国際ミニチュア版画展、86 年神田 真木画廊 japan’3 KANDA、87 年チリ・バルバライソビエ
ンナーレ、88 年個展村松画廊、89 年個展秦野丹沢美術館、
90 年個展ギャラリー現、92 年から 2004 年までアートギャ
ラリー京ばしで個展とグループ展、以後横浜で個展とグル
ープ展、今回に至る(WEB ホルベインアートニュース) 。

古川は今年のアートカクテルにも出品しているのだが、私
は意識して作品を見るのは初めてだ。グループ展だと、ど
うしてもその作品の本質ではなく側面しか知ることがで
きない。批評のプロとして失格とお叱りを受けそうだが、
個展によって初めてその作品の真価を知ることができる。
言い訳ではないが、団体展に所属しているアーティストは、
是非とも個展を開催してその本質を届けて欲しい。
それにしても多作のアーティストである。技法、手法、様々
な側面を持つ。42 点の作品群は大きく分類できるものの、
全作品に共通しているのは、抽象的様相により、絵の背後
にあるものを良い意味で隠していることにある。本音を言
わない、真実を見せないという訳ではなく、寧ろ逆で、絵
の背後にあるものを探したり、考えたりしなければならな
いのだよという現代美術に接する際の本質を教えてくれ
る。我々の日々の生活は、常に本質が隠された状態に置か
れている。政治、経済、法律は勿論、衣服、食材、住居も
また、本当のところどうなのか分からない。知りたくとも
教えてくれない、知りたくならないように、考えられない
ようなシステムが横行している。このままでいいのか。古
川は身を以て警告している。我々は応えるべきであろう。
真実を知らなくとも、理解しようという努力をすべきだ。

 

美術評論家 宮田徹也 

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2018年7月の個展より。